三井のすまい 日本橋サロン

不動産ディベロッパーの販売センターと契約サロンを兼ねたスペースの計画である。
販売センターとは、通常、マンションを建設する毎に近くの駐車場を借りてプレハブで建設する、いわば即席のプレゼンテーションスペースであり、シアタールームやモデルルーム、商談ブース等が入っており販売後は解体される。また、契約サロンとは文字通り購入者が契約行為を行うためのスペースである。
今回の計画は、日本橋界隈でいくつかマンション計画があるため、それらをまとめた中長期的な販売センター兼契約サロンをビル内に設けようというものである。そこでは「今までにない体験」、「日本橋らしさ」が求められた。
提案したのは、中心にプレゼンテーションエリア、外周部に商談ブースや会議室等を設け、境界に凹凸をつけていくことで様々な場所をつくり、訪れた人が放射状に情報にアクセスできる空間である。
部屋が数珠繋ぎになった、いままでのような販売センターのプランニングとは異なり、自由度が高い計画であり、映像を身体全体で感じられるような大型28面マルチモニターとプロジェクションマッピングによる新しい体験も可能になっている。
また、伝統的な素材と近代的な素材を対比させることで日本橋が持っている「不易流行」(いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと)という要素を際立たせ「日本橋らしさ」として表現している。

所在地:東京都中央区日本橋
主用途:サロン
建主:三井不動産レジデンシャル株式会社
延べ面積:845.10㎡
設計監理:北尾一顕建築設計事務所
企画映像:株式会社DGコミュニケーションズ
照明 : CHIPS
施工 : 三井デザインテック株式会社
設計期間:2018.11~2019.5
施工期間:2019.5~2019.9
写真撮影:矢野紀行